TOEICは役に立たないのか?TOIEC935点の筆者が事実と誤解を解説します。

この記事で分かること
・TOEICが役に立たないと言われる理由
・TOEICが役に立つ派、役に立たない派の意見
・社会人のTOEICとの正しい向き合い方

社会人が大人になってから英語を勉強し直す場合、学校で教わる機会のなかった「仕事で使える英語」を身につけたいと思うはずです。

それには当然、英会話(スピーキング)ができるようになることも含まれています。

一方、多くの企業では採用時にTOEIC(TOEIC Listening&Reading Test)の点数で英語のコミュニケーション能力を評価し、採用や昇進、海外赴任など人材を選ぶときの参考にしています。

TOEICを運営する団体の調査でも約7割の日本企業が採用時にTOEICを参考にするというデータがあるし、転職市場においてTOEICスコアが転職の成否に関わるというデータも出ています。

 

しかし「TOEIC800点でも英語が話せない」などTOEICスコアが必ずしも実戦に耐える英語力を表していない問題に、多くの学習者や人事担当者が悩まされています。

 

はたして、TOEICは役に立たない、無駄なものなのでしょうか?それともTOEICは役に立つのでしょうか?

独学でTOEIC935点を取った経験のある私が、その事実と誤解について考えてみます。

[st-kaiwa1] ちなみに私はTOEICで800点以上を取ってからオンライン英会話をやったり、1ヶ月間フィリピン語学留学に行ったりしました。その経験を振り返ると、TOEICで培った文法や語彙、リスニングなどの土台があったおかげで英会話もスムーズに伸ばせたという実感があります。
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なぜTOEICが役に立たないと思われているのか?

理由は単純です。多くの人がTOEICスコアに期待するものが間違っているからです。

 

多くの人がイメージする「英語ができる」とは「英語ペラペラ」を指します。

海外ドラマの登場人物のように流暢な英語を話し、New York Times や Wall Street Journalなどの英字新聞をコーヒーカップを傾けながら読みこなす。そんな姿を想像し、憧れを持つ人がたくさんいます。

つまり、英語を母国語とするネイティブスピーカーと同じレベルでコミュニケーションできることを求めてしまいます。

[st-kaiwa1] そんな風になれたらカッコいいですよね~
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しかし、日本で普及しているTOEICは「聞く」「読む」力を測ることを目的としたTOEIC Listening&Reading Test(TOEIC L&R テスト)と呼ばれるもので、このテストで990点満点を取ったところで「英語が上手に話せる」ことの証明にはなりません。

もちろん「話す」「書く」力を評価するTOEIC Speaking&Writing Test(TOEIC S&W テスト)もあるのですが、そちらは認知度がほぼ0です。「聞く」「読む」力は実戦レベルの英語を習得するために必要な基礎であり、TOEICは基礎レベルの定着を評価するテストとして意味はあります。

 

でもなぜか「話せる力」までTOEICで分かるという誤解が広まり、「あれ、期待してたのと違う」という事態になってしまいました。

英会話のレベルを測りたいのであれば、VersantやIELTS、TOEIC S&Wテストなどを使うべきなのですが…

【参考記事】VERSANT:スマホで受験できる英会話テストの特徴・メリット

TOEICは役に立たない派の意見

ここからは両方の立場の意見を整理してみましょう。

まずは「役に立たない派」の意見です。

高得点でも英語が話せない!だましやがって!

これは当然です。

さきほども言ったとおりで、日本で普及しているTOEICは「聞く」「読む」力を測ることを目的としたTOEIC Listening&Reading Test(TOEIC L&R テスト)なので、「話す」「書く」などのアウトプット系の英語力を磨くには別の方法で勉強する必要があります。

そもそもテストで評価する対象がずれているので、ハイスコアなのに英語が話せないということを気に病む必要はまったくありません。

TOEICに出てくる英語は実戦では使えない!

居酒屋や社員食堂で耳にしそうなセリフですが、こんな事を言う人はTOEICを一度も受験したことがない人です。気にする必要はありません。

TOEICはビジネスメール、注文書、広告など仕事で出会う文章がたくさん登場します。リスニングも職場でありそうな会話が再現されており、これらを覚えておけば職場でのコミュニケーションやメール作成などに活用できます。

もちろん、現実の世界をそのまま再現することはできませんが、英語を使うときの「元ネタ」として良いインプットの材料になります。

リスニングがゆっくりだし、声がクリアすぎるから実践的ではない

これは確かにその通りです。ニュース番組や海外ドラマで話される英語はもっと速いですね。

 

私は独学で935点まで行きましたが、英会話カフェなどでネイティブスピーカー同士の会話を聞き取ることはほとんどできませんでした。

私と話すときは、気をつかってゆっくり話してくれていたのだという事に気がついた瞬間でした……

 

TOEICでナチュラルスピードの英会話が出題されると、ほとんどの日本人は太刀打ちできません。それにTOEICは英語を母語としない人々の英語力を測るテストです。

もしナチュラルスピードの英語でリスニング問題を作ると、速すぎて受験者のほとんどがついていけず、受験者のレベルのを正確に測定することができなくなるでしょう。

TOEICの英語の発音はきれいだし、ゆっくりです。

でも英語を外国語として習い始めたばかりの人にとっては、それを聞き取るのも難しいです。むしろ初心者にとっては、きちんとリスニングの勉強をすることで確実に理解できるようになっていく手ごたえを味わうことができます。

難しすぎると何度挑戦してもレベルアップが実感できないので、みんな挫折してしまうのではないでしょうか?

どれだけ大量の英語を聞いても、耳から入った音が文字とリンクしてくれないと意味を理解することは不可能です。

初心者がネイティブレベルの英語をどれだけ聞いても頭の中で音と文字がリンクしないので、TOEICレベルのリスニングから手をつけるのは決して間違いではないです。

TOEICは役に立つ派の意見

ここからは、TOEICは役に立つ派の意見を紹介します。

英語力のアピールに役立つ

日本国内で英語力をアピールするのにTOEICは一番役に立ちます。

英検やTOEFLなどはTOEICより明らかに難しいのですが、大してアピール材料になってくれません。やはりTOEICの受験者数の規模が信頼性を生んでいると言えます。

したがって、
・大学での単位取得や就職活動
・会社の昇進、昇給のチャンス
・転職活動での選択肢が広がる

などの実用的なメリットを、TOEICでハイスコアを取ることで得ることができます。バリバリの外資系企業ではTOEICスコアは関係なくて、どれだけ仕事ができるかでしか評価されません。

「英語ができる人」と思われたければ、留学経験などを説明するよりもTOEICの点数をバシッと言ったほうが納得されるのが、日本社会の現実です。

【参考記事】転職で必要なTOEICスコアの目安、企業から見たスコア別評価とは?

TOEICの勉強はビジネス英会話向上にもつながる

ビジネスの場面で、大人としてきちんとした英語を話したいと思うのであれば、TOEIC対策は正しい文法や語彙をインプットするのに役に立ちます。

単語や文法のインプットをしっかりしないと、英会話の練習をしても話せることがないので効果がありません。頭の中に言いたいことはあるけど全く英語にできないという苦痛を味わうだけです。

第二言語を学ぶときには、インプットとアウトプットのサイクルを回すことが大事だと言われています。

TOEICで学んだことを、意識的にアウトプットする機会を作り、その機会から学んだことを復習することで、英会話の発信力も伸ばしていくことが可能です。

読めない・聞けない人は英語ができない

TOEICは、英会話に必要に基礎である「読む」「聞く」がきちんと身に付いているか評価できるテストです。

英語が読めない、聞けないのにスムーズに英語を話したり書いたりできる人はいません。

[st-kaiwa1 img=”https://smarteigo.jp/wp-content/uploads/2018/09/s_face.jpg” name=”Toshi” from=”right”] フィリピン留学のとき、マンツーマンレッスンを続けているのに英会話が上達しない日本人学習者を何人か見かけましたが、その人達は学生時代もほとんど英語を勉強しておらず文法や単語が身についていませんでした。英語独特の発音やアクセントにも慣れていなくても、カタカナ英語から卒業できない人たちでした。
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「TOEICは役に立たない」派の意見にあるように、TOEICで英会話力を測ることはできませんが、TOEICの点数を見ることで「英語ができない人」「ちゃんと勉強してない人」を見分けることは可能です。

英語が苦手な日本企業の人事担当者がTOEICを参考にするのも、こうしたメリットがあるからです。

しかし、TOEICに過剰な期待をして「ハイスコア=英語が話せる人」という誤解が広まり、テストの実態にかけ離れてしまうことになりましあた。

ビジネス英会話を身につけるには、TOEIC以外の勉強がどうしても必要なのですが…

TOEICとの健全な向き合い方

TOEIC(TOEIC L&Rテスト)が役に立たない、役に立つという両方の意見を見てきましたが、いかがでしょうか。

たしかに英語を母語として育った人と同じレベルや、英語が話せるというレベルに届くことはTOEICだけでは難しいです。

 

しかし、英語力の大事な土台である文法や語彙、リスニング、リーディングの基礎を学べるのはTOEICの良いところです。

TOEICは日本人が英語初心者の域を脱出して、ビジネスで使える英語を身につけるための最初の関門だと言えます。

つまり、ある程度基礎が固まったと判断できれば、オンライン英会話やコーチング付きの英会話スクールへ行くなど、英語を使うためのトレーニングをどんどん積んでいく学習に切り替えていくのがよいでしょう。

目安としてはTOEIC800点以上、せいぜい860点あたりで打ち止めにして良いと思います。(800点以上でTOEIC受験者の上位約10%に位置するレベルです。)


出典:http://www.iibc-global.org/toeic/official_data/lr.html

 

私自身が935点まで取っておいて言うのもアレですが、900点以上は完全に「TOEICのための勉強」に専念して目指す領域なので、あまり実用的ではない気がしています。

800点以上のスコアが取れたら、オンライン英会話などで英会話のトレーニングも増やしていきましょう。

 

もしあなたの職場が当たり前に英語を話したり、英語のドキュメントを大量に読みこなすことを毎日行うような環境であれば、特に対策しなくても900点台に届くでしょう。

しかし、あまり英語を使わない環境の日本人が900点レベルを目指そうとすると、いわゆる「試験勉強」をする必要があります。

ビジネスで使える英語を身につけるのであれば、TOEICは短期集中で対策する作戦で行くべきです。

だらだら勉強していてもモチベーションを維持するのが大変ですし、はやく卒業して次のステージに行ったほうが人生の選択肢が広がります。

「TOEICは役に立つ?立たない?」のまとめ

それでは、ここまで解説したことを簡単にまとめましょう。

まとめ
・TOEICは「読む」「聞く」力を見るテストなので「英会話」まで期待するのは間違い
・「TOEICが役に立たない」という意見は、TOEICに対する誤解が原因
・初心者が英語力の土台を築くのにTOEICの勉強は役に立つ
・自分の目標スコアを明確に決めて、短期集中で対策すべし
・800点以上のレベルになったら、話すためのトレーニングに切り替える

TOEICがどういう試験なのかを理解しておけば、誤った期待を持たないですみます。それにTOEICテスト対策をうまく利用して英語力を伸ばすことも可能です。

会社でTOEICを強制される人も多いと思いますが、英語力の基礎を伸ばす機会だと受け取ってスコアUPを目指しましょう。

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