1ヶ月で500個の英単語を覚える方法をTOEIC935点の社会人が解説

この記事で分かること
・「やってはいけない」私の英会話暗記失敗談
・TOEIC対策にも有効な、効率的な英単語の覚え方
・脳科学的にも正しい、社会人のための英単語暗記法

独学でTOEIC935点を取った私が、忙しい社会人の皆さんに知ってほしい英単語の効率的な覚え方を紹介します!

英単語をどれだけたくさん知っているかという語彙力は、英語の「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を支える土台となる部分ですが、なぜか中学や高校では「効率的な記憶のやり方」を学ぶ機会はありません。

社会人の皆さんも大学受験やTOEICの勉強で英単語をなかなか覚えられず、苦労した経験があるのではないでしょうか?

 

脳科学的に正しい英単語の勉強法を実践すれば、30日で500個の英単語を覚えることは誰でも可能です。これは、忙しい社会人がTOEICスコアを短期間で上げるために絶対に覚えておきたい方法です。

 

この記事では私自身の失敗談もふまえつつ、脳の記憶の仕組みをベースにして「誰でも30日で500個の英単語を覚える学習法」を紹介します。

以下では個人的な体験談から話しが始まります。

「先に方法を知りたい!」という方は読み飛ばして「TOEICにも効果あり!正しい英単語暗記法」まで移動してください。

私の英単語暗記の失敗談

以下で紹介するような、正しくない方法で英単語を暗記するととても苦労します。

実際に私も大学受験の時は良くないやり方で英単語を覚えていました。その時は必死だったので気合で覚えていましたが、社会人になってからもっと効率的な方法があることに気がつき、独学でもTOEIC935点まで取ることができました。

私の昔のやり方には以下のマズイ点がありました。
・完璧主義にとらわれていたこと
・単語を書いて覚えていたこと
・一度にたくさんの意味を覚えようとしたこと

当時はZ会の出版している速読英単語の「必修編」、「上級編」を単語帳として使っていました。気合で3回以上くりかえして読んだおかげで語彙力のベースはできたのですが、もっと時間短縮できたはずでした。

完璧主義にとらわれていたこと

失敗の1つは完璧主義にとらわれていたことです。

たとえば今日は10ページやると決めたら、そこに載っている単語を1度ですべて記憶しようとしていました。後で述べるように、英単語は何度もくりかえし見ることで記憶できるので、無理に一回で覚えようとするやり方は間違いでした。

単語を書いて覚えようとしたこと

2つ目の失敗は、英単語を書いて覚えようとしていたことです。

昔は単語を10回書いて覚えようとしていました。皆さんの中にも同じようにしていた方はいるのではないでしょうか?これは1回で完璧に覚えようとしていたせいで、やってしまった失敗です。

おそらく、子供時代の漢字練習帳をヒントにしたのでしょう。

一度にたくさんの意味を覚えようとしたこと

3つ目は、一度にたくさんの意味を覚えようとしたことです。

これも完璧主義が原因なのですが、”observe”などの単語が持つ複数の意味を一度に覚えようとしていたことです。最初は1つの意味だけを覚えて、繰り返し見るプロセスの中で、いろいろな意味を覚えるようにしたほうがやりやすかったなと思います。

やってはいけない!英単語暗記法

「子供の頃のように物覚えが良くないので英単語はなかなか覚えられない」

英単語を覚えるのが苦手だと感じている人は、過去の私のような失敗をしているのではないでしょうか?次に紹介するのは、あまり効果的でない「やってはいけない勉強法」です。

当てはまるところがないかチェックしてみてください。

1日10個など、コツコツ覚えようとすること

1回で完璧に単語を暗記しようと思うと「1日5~10個をコツコツ覚える」という間違いにハマってしまいます。

一般的な単語帳には1000~2000個の単語・熟語が収録されています。1日10個のペースでやっていたら1000個全部を1回分終わらせるには100日かかってしまい、100日目には最初の頃に覚えた単語は確実に忘れているでしょう。

社会人のおすすめは、1日100個のペースで覚えることです。

ただし1回で完璧に意味やスペルを覚える必要はありません。最初はうろ覚えでOKです。同じ単語をくりかえし見ることで、少しずつ記憶を強化していくのです。

単語を10回書いて覚えようとすること

単語を覚えるときに書く練習は必要ありません。

英単語はまず「英語を見て意味が分かる、読める」状態を目指したほうが全体的に効率的に暗記ができます。

英語を実際に使うシーンでは読むことが圧倒的に多いです。スペルを完璧に覚えていなくても、意味と発音が分かれば読む、聞く、話すが可能になります。

日本語を使うときでも同じですが、意外と書くシーンは少ないし、使う語彙も限定されています。たとえば「薔薇」という漢字はふつうに読めますが、書く場面はあまりないので漢字を完璧に覚えている人は少ないでしょう。

自分が頻繁に書く単語については、書く練習も必要ですが、それ以外はまず読めるようになることを優先しましょう。

英単語を書くという行為は、覚えた内容をちゃんと覚えているのかチェックする意味では効果がありますが、覚えることにはあまり関係ないとご理解ください。

先程も述べた通り、単語を記憶できるかどうかは「短期間でのくり返し」で決まります。

ダラダラ読むだけで覚えようとすること

ページをダラダラめくるだけでは覚えることはできません。

聞き流すだけで英語が話せるようにならないのと同じように、前のめりの姿勢で、能動的に単語帳を読むマインドが必要です。

単語を読むときに半透明の赤色のシートや、本のしおりなどで日本語の意味をかくしておき、0.2秒以内で意味が脳内に思い浮かぶかをチェックするなど、覚えることに集中しやすい工夫をしましょう。

日本語の意味を見たら、次は例文を見る、そしてすぐ次の単語へ…1ページ分おわったら、もう一回そのページの最初に戻る、などテンポよく読むことで効率が上がります。

さらに単語は声に出して読み、CDの音声を聞いて単語と例文の発音もチェックすることで文字と音が頭の中でリンクして記憶が強化されます。

単語帳を読むときは手、口、耳を活発に動かしましょう。

文字を読み、音を聞いて声に出すのが単語を覚えるときの基本動作です!

TOEICにも効果あり!正しい英単語暗記法

ここでは私も実践している英単語暗記の方法について紹介します。30日で500個の英単語を覚えるための具体的なやり方です。

ポイントは「30日以内で同じ単語を7回見て覚える」ということです。

皆さんも実践するときは次の7つのポイントを意識してください。

  • 1日100~200個のペースで英単語を学習する
  • 1つ1つの単語に時間をかけすぎない
  • 単語を書いて覚えようとしない
  • 1度にたくさんの意味を覚えようとしない
  • 英語→日本語の順番で意味を覚える
  • 0.2秒以内で意味が分かる状態を目指す
  • 文字、発音、例文、品詞のセットで強い記憶を作る

1日100~200個のペースで英単語を学習する

1日10個のコツコツ型の戦法よりも、30日で500個、目安としては1日に100~150個。

このペースで進めていきます。

30日以内に最低でも6回は同じ単語に触れるようにします。最初の2,3回はほとんど覚えることができず、うろ覚えの状態になりますが、それでも大丈夫です。

6回、7回とくりかえし見ているうちに、英語を見たらパッと日本語の意味が分かるようになります。

進め方は次のようなイメージです。

表のように30日間を5つの区間に分けて、少しずつ単語を覚えていくようにします。
最初の6日間では1~150個目の単語を何度も学習します。1日のうちに必ず150個すべてに目を通すようにします。

1~150個目までの単語(6日間)
150~300個目までの単語(6日間)
300~450個目までの単語(6日間)
450~500個目までの単語(3日間)
1~500個目までの単語の復習(9日間)

このように1日で150個を目安にして各グループの単語を学習し、最後に1~500番目までのすべての単語を復習するというイメージです。各グループの単語に目を通すのを6日間で6回くり返します。

ただ単に文字を読むのではなく、単語や例文を音読し、CDの音声も聞くことを取り入れながら学習を進めてください。

1つ1つの単語に時間をかけすぎない

単語を見て「うーん、この意味は何だったかな?」といちいち考えこむ必要はありません。

1つ1つの単語に時間をかけすぎると1日に100~150個を見ることは不可能なので、テンポよくパッパッと読み進めていくことを意識しましょう。

6周するプロセスの中で意味を覚えればいいので、最初はうろ覚えで大丈夫です。2,3周したら何となく見覚えがある状態になり、5周目あたりから、だんだんと意味が思い浮かぶようになります。

反復学習が大原則なので、単語1つ当たりにかける時間は10秒くらいを目安にしましょう。

単語1個にかける時間=10秒とすると、150個で1500秒=25分で1周することになります。

1日に25分なら、忙しい社会人もなんとか捻出できるのではないでしょうか?

単語を書いて覚えようとしない

失敗談でも述べたように、書くことは英単語暗記にあまり効果はありません。

仕事などで実際に書く必要がある単語はスペルも正確に覚えたほうがいいですが、自分がこれから覚えるすべての単語のスペルを覚えようとすると一気に情報量が膨大になるので覚えきれなくなります。

気合を入れすぎると反復学習がやりにくくなり、かえって記憶の定着が悪くなるということをぜひご理解ください。

1度にたくさんの意味を覚えようとしない

英語になると、なぜか完璧主義を追求してしまう人が多いですよね。

たくさんの意味をインプットしたいという熱意は素晴らしいですが、反復学習の効率を考えると、少しいい加減な態度で行くのが丁度よいです。

最初は英語と日本語の意味を1対1で覚えればOKです。

単語帳によっては類義語、対義語なども注釈で掲載されていますが、テンポよく進めるほうが大事なので、最初のうちはフワッと目を通すくらいにしておきましょう。

完璧主義は捨てて、まずは英語ー日本語の意味を1対1で覚えましょう。

英語→日本語の順番で意味を覚える

英単語を覚えるときは「英語」→「日本語」の方向に絞って暗記しましょう。

TOEICで使う英語は「読むこと、聞くこと」の割合が圧倒的に多いので、英語を見聞きして意味が分かる状態になればOKです。

 

補足として言うと、英語を話したり、書いたりするときは日本語を介さないで、頭の中にあるメッセージをそのまま英語でアウトプットすることが大切です。

「テーブルの上にりんごがある」と言いたいときに、脳内のりんごのイメージ→りんご(日本語)→apple(英語)という風に日本語をはさまずに直接、脳内のりんごのイメージ→apple(英語)というプロセスで英語が出てくるようにしなくてはいけません。

日本語→英語の順番で記憶の中にある意味を取り出すというよりも、脳内のイメージから直接英語につなげたほうが使いやすいです。英会話でも使いこなせるようになるには、このような練習も必要ですが、最初はくりかえし単語を見て覚えることを優先しましょう。

0.2秒以内で意味が分かる状態を目指す

英単語を見て0.2秒以内に日本語の意味が思い浮かぶことを目指しましょう。

英単語を見て「え~と、これはたしか日本語で〇〇だ」となっているようでは、覚えたことにはなりません。

たとえば、”employee”という単語をみたら0.2秒で「従業員」という日本語や、働く人の顔がイメージできる。この状態になってはじめて「暗記」したことになります。

0.2秒以内で意味が分かるようになるまで、反復学習あるのみです。最初はうろ覚えですが、回数を重ねることで思い出すまでの時間が短縮されます。

文字、発音、例文のセットで強い記憶を作る

やってはいけない勉強法でも説明しましたが、ダラダラと単語帳を眺めているだけでは永久に語彙力を増やすことはできません。

単語の勉強をするときは、かならず英語、日本語の意味、例文を声に出して音読します。さらに品詞(名詞、動詞、形容詞、副詞、前置詞、接続詞など)も覚えて、CDなどに収録されている音声を使い、リスニング学習もやり込みます。

文字、音、品詞、例文などをセットにすることで、文字だけで覚えるよりも、強い記憶を作ることができます。

語呂合わせで自分独自の単語の「イメージ」を作ることや、単語の横にイラストを描いたりすることは、意味を連想しやすくする効果があります。

社会人におすすめ!TOEIC英単語帳


最後にTOEICに向けて英単語をたくさん覚えたい社会人におすすめの「銀のフレーズ」「金のフレーズ」を紹介します。

コンパクトで持ち運びに便利、人気参考書の「特急シリーズ」の超人気教材です。

新書サイズなので、通勤用のカバンに入れてどこでも持ち歩くことができるので、ちょっとした空き時間で本を開いて単語を暗記できます。反復学習がモノを言う英単語暗記に適した教材だと言えるでしょう。

金のフレーズ

多くのTOEIC学習者に指示されて発売以来累計40万部を超えるベストセラーとなっている単語帳です。

著者のTEX加藤氏80回以上TOEICの試験を受け続けて、構築したデータベースから1000個の頻出単語を厳選しています。

1000語はレベル別に収録、次のの4段階に分かれています。
・600点(400語)
・730点(300語)
・860点(200語)
・990点(100語)

この1000語のほかに定型表現や前置詞・接続詞、部署・職業名などの「TOEICあるある」な単語も多数収録されています。目標スコアで単語が分類されているので860点を目指す人は900点レベルの100語はスキップして残りの900語を集中的に覚える、という使い方もできます。

私自身、この金のフレーズを使ったことがありますが、本番のTOEICや公式問題集を解いているときに出会った単語がたくさん載っていると実感しました。

銀のフレーズ

TOEIC単語帳の定番「金のフレーズ」の基礎固め編がこの銀のフレーズです。

TOEICを毎回受験し、満点を取り続ける著者のTEX加藤氏が600点突破のための必須単語を厳選してこの1冊にまとめました。

・基礎の400語
・頻出の300語
・必須の200語
・発展の100語

といった感じで単語がカテゴリ分けされています。TOEIC対策用の単語だけでなく、英会話のときにも覚えておくと使える定型表現なども掲載されています。短めの例文は読者によって賛否ありますが、短いぶん覚えやすいのでテンポよく進めていけるというメリットがあります。

TOEIC対策アプリを使うと英単語の反復学習がしやすい

紙の参考書はかさばるし、持ち運ぶのが面倒だと思う人はスマホのTOEIC対策アプリを使うと良いですね。

 

TOEICアプリで定番と言えるのはスタディサプリENGLISH TOEIC対策コースです。

TOEIC頻出単語だけでなく、英文法、リスニング、リーディングなどTOEICに必須の英語力を身につける効果的な勉強がこのアプリ1つでできます。

【参考記事】スタディサプリTOEICを活用した英単語の学習法

英単語を集中的に覚えるメリットとは?

以上、英単語暗記を効率的に行うための7つのポイントでした。

人間は忘れることが得意な生き物です。せっかく覚えた単語が思い出せなくなっても、あまり気にすることはありません。誰だって経験していることなので、自分だけが特別忘れっぽいのではないかと気に病むのは間違いです。

忘れたらまた覚えればいい、それだけの話です。

「英単語だけを暗記するのは使えない知識だ」
「生きた英語にふれる中で英単語を覚えるのがベスト」

英単語については、こういう考え方をする人もたくさんいます。確かに一理ありますが。

しかしビジネス英会話やTOEICのテストで通用する語彙力を短期間で身につけようとした場合、ニュースや雑誌などの英文を読みながら単語を覚えることは効率が悪いです。

自分のレベルとかけ離れた英文を読むと意味そのものが理解できないし、優先度の高い、必要な単語にいつ出会えるかという保証もありません。

それよりは、情報が整理された英単語帳で集中的に単語を覚えたほうが効率的です。

語彙力は文章読解、リスニング、英会話に直結する重要な基礎スキルです。

単語さえ分かれば、何となく文章の意味が分かることはありますが、単語がさっぱりわからなければ、文法構造の分析やリスニングができても意味を理解することはできません。

そんな状態ではTOEICの勉強をしていても、単語が分からないせいでリスニング、リーディングの勉強に専念できないので全体の生産性を下げてしまいます。

社会人が英語をやり直す時は、英単語を集中的に覚えることに一定期間を割くほうがメリットが大きいということをぜひ覚えておいてください。

【参考】英単語暗記に役立つ記憶の仕組み

ここからは脳の記憶の仕組みを簡単にお話しします。

反復学習がなぜ効果的なのかということの参考情報として読んでください。

エビングハウスの忘却曲線という有名なグラフが示すように、人間は1日たてば覚えたことの半分以上を忘れてしまいます。さらに脳科学が証明する記憶の仕組みによれば、何度も同じ情報を繰り返しインプットすることが「忘れにくい記憶」を作るために重要だということが分かっています。

 

また、人間の記憶は短期記憶と長期記憶の2つに大別されます。

短期記憶は一時的な記憶です。

脳の中に蓄えた知識を一時的に取り出して置いておくスペースとしての役割のほか、目や耳など外から受けとった情報が短期記憶として保存されます。短期記憶にある情報は、約30日たつと捨てられてしまう、忘れやすい記憶です。

これに対して、長い間覚えていられるのが「長期記憶」です。

英単語を覚えて忘れないようにするのは、この長期記憶の中に効率的に英単語の情報をたくさん詰め込めるような学習法を取り入れるべきです。

 

 

私たちが英単語を忘れないようにするためには、何とかして短期記憶から長期記憶へと英単語の情報をうつす努力が求められます。

そのためには、「何度もくり返し同じ情報をインプットすること」が必要です。

それも、1ヶ月(30日以内)にくり返すことが大切です。

 

以上のように、脳科学の観点からも英単語はコツコツ覚えるよりも、短い期間で大量の単語をくりかえし見ることで覚えるほうが効率的な方法だということが分かります。

英単語暗記では「短期間の反復学習」が大事だということを、覚えていただけると今後の英語学習に役立てていただけると思います。