「英語は音読すると良い」と言われていますが、継続して実践できている人は少ないですよね。
その理由としては
「どの教材が合っているか分からない」
「音読しても途中で飽きてしまう」
「テキストを買ってみたら難しすぎた」
などがあるのではないでしょうか?
音読はハードルが高いと感じる人もいるかもしれないですが、「英語をマスターしたいなら音読は死んでもやるべき」です。
私自身、音読など声を出す学習を取り入れることで次のような効果を実感しています。
・音読で英語らしい発音、アクセントの習得
音読が実践しやすいおすすめの教材が、今回紹介するラダーシリーズの洋書です。
ラダーシリーズは学習者のレベル別に使用語彙が制限されており、巻末には単語集も載っています。さらに別売で本文を朗読した音声もダウンロードでき、音読やリスニング、スピーキングの勉強をしたい人にとって非常に使いやすい教材です。
今回は、英語音読のおすすめ教材であるラダーシリーズの特徴や学習法について解説します。
これから音読にチャレンジしたい人は是非チェックしてみてくださいね。
Contents
【はじめに】英語の音読をする効果とメリットは?
音読は英語を話せるようになるための重要なトレーニングです。
はじめに、英語の音読にはどんな効果やメリットがあるのか説明します。
「音読」で英語の速読力が向上する
音読を継続することで、声に出さずに黙読するときのスピード(速読力)が向上します。
その理由は英語を英語の語順の通りに読んで理解できるようになるからです。
英語と日本語は動詞や名詞の位置など語順が違うため、いちいち日本語に訳しながら読んでいると文章を行ったり来たりすることになり、ムダな時間がかかってしまいます。
これを「返り読み」と言いますが、英語を読むのが遅い人はたいてい返り読みをしてしまっています。
英語を語順の通りに解釈する読み方を身につけるためには「音読」が効果的です。
声に出しながら読むことで「前に戻ること」ができなくなるからです。
たとえば This is true not only of national cultures but also of organizational cultures. という英文を理解するとき、「これは国の文化だけでなく組織の文化にも当てはまる」みたいに自然な日本語で解釈すると「返り読み」になってしまいます。
そうではなくて「これは当てはまる、国の文化だけでなく、組織の文化にも」という順番で意味を理解できる思考回路を作ることで、英文を読むスピードは格段に上がります。
そのために音読で語順通りに英文を読む練習が必要不可欠なのです。
「音読」でリスニング力が向上する
音読するときに音声も聞くことで、リスニング力がアップするという効果もあります。
逆にまちがった発音やアクセントで音読を続けると悪い癖がつくので、音声もしっかり聞くことは大切です。
ただ音声を聞くだけだと、注意散漫な聞き流しになってしまうケースも多いのですが「自分でも声に出して読むんだ」という意識づけをすることで英語の発音やアクセントを意識して、集中力を高めて聞くことができます。
このプロセスを踏むことで、英語の音を耳にしっかりなじませる事ができます。
さらに音読をすることで英語の語順通りに意味を理解する思考回路ができるので、実際にリスニングをするときも聞こえてきた順番の通りに意味が取れるようになります。
このようにリスニングも取り入れた音読を継続することで、聞こえてきた順番通りに意味を理解できるリスニング力も向上するのです。
「音読」で英語の語彙力も向上する
英語習得に語彙力の強化は絶対に必要ですが、音読によって語彙力の向上も期待できます。
英単語を覚えるときは目でアルファベットの綴りと日本語の意味をセットで覚えることになりますが、声に出して読むことで耳からも脳に刺激がいくので記憶を補強することができます。
口の動きや音など「視覚、聴覚、運動、声」など五感をフル活用、さらに同じ情報のインプット、アウトプットをくり返すことで「長期記憶」という忘れにくい記憶を作ることができます。
音読練習を通じて何度も単語に出会うことで「使える語彙」を増やせるのです。
音読教材としてのラダーシリーズの特徴
ラダーシリーズのラダーとは、ladder(はしご)のことです。
使用する英単語をレベル別に限定して、よみやすい英文に修正されており音読や多読に最適な教材と言えます。巻末にワードリストが付属しているため、辞書なしで洋書が楽しめます。
ラダーシリーズ レベル一覧表 | ||||
---|---|---|---|---|
LEVEL1 | LEVEL2 | LEVEL3 | LEVEL4 | LEVEL5 |
使用語彙 1000語 |
使用語彙 1300語 |
使用語彙 1600語 |
使用語彙 2000語 |
使用語彙 制限なし |
TOEIC 300~400点 |
TOEIC 400~500点 |
TOEIC 500~600点 |
TOEIC 600~700点 |
TOEIC 700点以上 |
英検4級 | 英検3級 | 英検準2級 | 英検2級 | 英検準1級以上 |
このように、レベル別に使用単語、英文の難しさが調整されているので最後まで挫折せずに読める洋書を選択できるようになっています。
内容も「美女と野獣」「金太郎」などの児童書から、日本社会や文化を解説したもの、政治家の伝記など大人向けのものまで読者の興味関心に合わせて幅広いラインナップです。
1冊の大きさは、新書とほぼ同じサイズ。表紙にレベルが記載されています。
そして、本の中身はこんな感じです。
そんなにギッシリ詰まっている感じではなく、読みやすい文字のサイズで書かれています。
巻末には本文に登場する英単語のリストが載っており、読んでいて意味が分からなければすぐ調べられるようになっています。
さらに別売りで本文を音読した音声データをダウンロードできます。音声はaudiobook.jpというオーディオブックの販売サイトから入手できます。
このように、
ラダーシリーズの洋書は日本人の英語学習者向けに読みやすく、リスニング学習もできるように作られているので音読や多読におすすめのテキストとして活用できます。
TOEIC935点の私がおすすめするラダーシリーズ音読法
ここからはラダーシリーズを活用した英語音読のやり方について、TOEIC935点の筆者が解説します。
音読のやり方が分からない人は、要チェックです。
ポイントとしては次の通りです。
- 自分のレベルに合わせて洋書を選ぶ
- 最初の1回は意味が分からなくても読み進めてみる
- 精読の後で10回くりかえし音読する
- 音声も聞いて発音やアクセントにも気をつける
- 知らない単語は辞書で発音もチェックすべし
あまり難しすぎるものを選ぶと挫折するので、先述のレベル一覧表も参考にして「少し簡単すぎるかな?」と思えるものを選ぶと最後まで読み切ることができますよ!
基本的なやり方は、どのラダーシリーズの洋書でも同じです。
[wpap service=”with” type=”image-text-h” id=”4794601913″ title=”バラク・オバマ・ストーリー The Barack Obama Story (ラダーシリーズ Level 4)”]①とりあえず読み進める
ラダーシリーズを始めて読むとき、最初はスピード感を意識しましょう。
これは多読をするときのやり方ですが、スピード感をもって、英語を日本語に訳さず英語のまま理解し、なるべく辞書を使わずに読み進めていきます。(このときは黙読でOKです。)
最後のページまで読もうとすると疲れるので、読む時間を5分とか10分とかに設定して制限時間内でなるべく多くのページを読むという意識で取り組みましょう。
この時点では、英文の意味がよく分からない部分もたくさんあると思いますが、気にしないで大丈夫です。
②精読で英文の構文や意味を理解する
何ページか読み進めたら、次に「精読」を行います。
精読とは英文を文法構造・語彙・語法などの観点から正確に意味をとらえて、内容を理解することです。
知らない単語を辞書で調べたり、文法構造を理解して文全体の意味を正確に理解していきます。
内容を理解していない文章で音読しても学習効果はないので、最初に読んで意味がつかめない英文があったら必ず精読をしましょう!
[st-kaiwa1]ここからは音読・多読の人気教材である「ラダーシリーズ」の”The Barack Obama Story”から一部を引用して解説しますね。[/st-kaiwa1]Obama and Clinton ran a tight race for the Democratic Party’s nomination for president. But on June 2008, Obama won the Democratic national primary and became the first African-American to win the presidential nomination for a major party. After she lost the primary, Hillary Clinton gave her full support.
上記のサンプル例文は、オバマとヒラリーが民主党の中でアメリカ大統領予備選挙で戦い、オバマが勝ったという事が書いてあります。
精読では、Democratic Party=民主党、primary=予備選挙、nomination=任命など英単語の意味を確認していきます。それから「”Obama won the Democratic national primary and became the first African-American to win the presidential nomination for a major party.”という一文はObamaが主語で動詞はwonとbacameの2つだな」みたいに文の構造もチェックしていきます。
ただし完璧を求めすぎると先へ進めないので、10%くらいよく分からない所が残っていても気にしないようにしましょう。
このように精読が一段落したら、いよいよ音読の練習に入っていきます。
③音読を聞いて、発音やアクセントを知る
音読ではなるべく正しい発音やアクセントを真似しながら読むことが、リスニング力向上には効果的です。
なので音声つきの教材は事前にかならずネイティブが読み上げる音声を聞き、自分の音読で目指すべきゴールイメージをつくりましょう。
[st-kaiwa1]音声は英文を読みながら5回くらい聞くのが目安です。[/st-kaiwa1]すべての教材に音声がついているとは限らないので、音読に慣れないうちは必ず音声のCDかデータが付いているものを選ぶようにしましょう。
④音読をくりかえし行う
音声を聞き込んだら、声に出しながら英文を読んでいきます。
モノマネをするような感覚で、あまり細かいミスや訛りは気にせずに読み進めていくことを意識しましょう。
音読は1つの英文につき、10回はくりかえし練習します。
さらに反復するときに次のようなステップを踏むことを意識しています。
第1段階:意味が正しく取れているか確認
単語の意味が分かっているか、文を読むときに不自然な分節で区切っていないか、意味的に自然なところで息継ぎができているか等をチェックします。
たとえば”Obama and Clinton ran a tight race for the Democratic Party’s nomination for president. “を Obama and Clinton ran a tight / race for the Democratic Party’s / nomination for / president のように区切って息継ぎをしていたら、うまく文構造を把握できていないと判断できます。
そういう時は精読ができていないと判断して、精読をやり直します。
第2段階:読みながら意味がすぐに理解できるか確認
次の段階では、読みながら英文の意味がすぐに頭に入ってくるかどうかを確認します。
意味を理解せずにただ読んでいるだけでは、お経を唱えているのと同じで、音読の効果は薄いです。
たとえば”After she lost the primary, Hillary Clinton gave her full support.”という一文を読んで「ヒラリークリントンが敗退した / 予備選挙で / 後 / ヒラリーは与えた / 彼女の最大限の支援を/ 」という風に意味を取っていけるかを確認します。
このように「英語の語順の通りに意味がつかめるようになっているか」を意識しながら音読します。
第3段階:発音やアクセントも意識して音読
第3段階ではナレーターが読む英語を完璧にモノマネするつもりで、発音やアクセントも正確に再現することを目指して音読します。
英語らしい発音やアクセント、さらには音声変化も自分の口で再現できるようになるまで音読の反復練習を行います。
【参考】英語の音がくっつく?消える?日本人が知らない発音のルール
[st-kaiwa1]スマートフォンやICレコーダーで自分の声を録音してみると、改善点がたくさん見つかりますよ。自分の声を聞くのは相当はずかしいですが…[/st-kaiwa1] [wpap service=”with” type=”detail” id=”B0170WP8BG” title=”ソニー ステレオICレコーダー FMチューナー付 4GB ブラック ICD-UX560F/B”]
また、この段階では音声を聞きながら音読するトレーニングも取り入れるとさらに効果的です。
音声を聞きながら音読する具体的な方法としては、リピーティング、シャドーイング、オーバーラッピングなどがあります。さらに上のレベルを目指したい人は、ぜひ取り入れてみましょう。
【レベル別】ラダーシリーズのおすすめ洋書
内容的にも面白いラダーシリーズのおすすめをレベル別に紹介します。
ラダーシリーズはたくさんの洋書があるので、自分の興味に合った教材選びの参考にしてください。
レベル1:美女と野獣
[wpap service=”with” type=”detail” id=”4896842979″ title=”美女と野獣 Beauty and the Beast (ラダーシリーズ Level 1)”]ご存知、美女と野獣をやさしい英語で書きなおしたものです。
ディズニーの映画やアニメで日本でも親しまれている作品を英語で楽しむことができます。
レベル2:不思議の国のアリス
[wpap service=”with” type=”detail” id=”4896840372″ title=”不思議の国のアリス Alice’s Adventures in Wonderland (ラダーシリーズ Level 2)”]こちらも言わずと知れた、ルイス・キャロルの名作ですね。
不思議の国へ迷い込んだアリスの冒険をやさしい英語で味わえる内容になっています。
レベル3:シャーロックホームズの傑作短編集
[wpap service=”with” type=”detail” id=”479460002X” title=”シャーロック・ホームズ傑作短編集[改訂版] From the Files of Sherlock Holmes (ラダーシリーズ Level 3)”]誰でも知る名探偵、シャーロックホームズの傑作短編集です。
意外に本で読んだことのある人は少ないのではないでしょうか?ラダーシリーズは読みやすい英語で書かれているので、ストーリーや推理を楽しみながら音読もできますよ。
レベル4:ジャパン FAQ
[wpap service=”with” type=”detail” id=”4896840348″ title=”ジャパン FAQ Japan FAQ (ラダーシリーズ Level 4)”]日本在住アメリカ人である著者が、自身の体験に基づいて執筆した、日本に関する FAQです。
著者は英語教材で有名はデイビッド・セインさんです。
「日本の面積を、アメリカやドイツと比べると?」
「日本のオフィスと外国のオフィスの、一番の違いは?」
などなど、日本人自身が意外に知らない、日本についての知識を外国人目線で学べるとても興味深い内容です。
ビジネスの場面で日本のことを外国人に紹介するときにも、とても参考になる1冊です。
レベル5:Dining in Japan(日本の料理)
[wpap service=”with” type=”detail” id=”4896841476″ title=”日本の経済 The Japanese Economy (ラダーシリーズ Level 5)”]レベル5ともなると、使用語彙に制限はなく、内容も濃くなってきて読み応えのあるものが多いです。
本書は日本の経済について英語で解説した洋書で、ビジネスにも役立つ英単語を覚えることもできます。
そのほか、ラダーシリーズには名作文学や起業家、政治家の伝記、日本の文化・歴史を解説したものなどバリエーション豊かな洋書が揃っています。
色々手に取ってみて、最後まで読み進めたいと思えるものを選びましょう!
ラダーシリーズ以外のおすすめ音読教材
ラダーシリーズ以外の、英語音読におすすめの教材を紹介します。
みるみる英語力がアップする音読パッケージトレーニング
[wpap service=”with” type=”image-text-h” id=”4860642465″ title=”みるみる英語力がアップする音読パッケージトレーニング(CD BOOK)”]15行から20行程度の文章を使って音読する教材です。
自己流で音読すると途中で飽きたり、変なクセがついたりするリスクがありますが、この教材では学習の進め方がしっかり指定されています。
・先行リスニング
・聴き解き
・音読
・リピーティング
・シャドーイング
・テキストなしシャドーイング
基本的にそれらに沿って進めていけば、音読を通じて英語力を伸ばせるようにできています。
アプリで音読なら「スタディサプリENGLISH」がおすすめ
音読が実践しやすいアプリとしておすすめなのが、英語学習の新定番とも言えるスタディサプリENGLISHです。
スマホアプリなので、ネイティブの朗読する音声の再生や自分の声の録音などがボタン1つで簡単にできるの嬉しい点です。
音読の実践と振り返りが気軽にできるほか、1日3分からでも勉強できるように教材が細かく分かれて作られているので、忙しい人もスキマ時間を見つけて英語の音読ができますよ!
【無料体験】スタディサプリ ENGLISH 日常英会話コース
ラダーシリーズで英語音読を楽しく取り入れましょう!
ラダーシリーズの洋書を活用した英語音読の効果や、効果的なやり方について解説してきました。
ラダーシリーズ音読の効果・メリットとしては、
・英語の速読力が向上
・リスニング力が向上
・語彙力の強化
などが挙げられます。
音読をしてみると自分が理解していない文章はうまく読めないということに気づくので、弱点を効率的につぶせるメリットもありますね。
ラダーシリーズは多読用の教材として発売されていますが、TOEIC対策やビジネス英会話の土台となるリーディング・リスニング力をトレーニングしたいという目的であれば、本記事で紹介した音読をくりかえす方法を取り入れたほうが効果的です。
また文法的に理解できない英文があれば、中学・高校レベルの英文法が復習できるテキストで復習することも大切です。
このように真剣に音読をやろうとすると、文法事項の確認や音声のリスニングなど色々とやるべきことがあるので疲れます(笑)
なので、音読ではあまりたくさんの英文を読むことができません。忙しい人は1回の量を5~10ページくらいに抑えるとよいでしょう。
[st-kaiwa1]以上の点を意識して、皆さんもぜひ音読を英語学習に取りいれてみてください![/st-kaiwa1]