1日5分からOK、聞き流すだけで英語が話せるようになるというキャッチコピーで有名なスピードラーニング。
私も実際にスピードラーニングの教材を試してみたのですが、「聞き流し学習」だけでは英語は身につかないという結論に至りました。
実はスピードラーニングの無料教材に同封されている解説書でも聞き流しだけでは不十分であることが述べられています。
この図を見れば分かるように「聞き流し」はあくまで英語に慣れるための準備期間であり、それだけを何年やっても上達しないとスピードラーニング側も考えていることが読み取れます。
実際、4年間聞き流し学習だけを続けた私の知人は英語が話せるようにはなっていませんでした。
そもそも、ゼロから英語をやり直す初心者にとってスピードラーニングは適切な教材なのでしょうか?
その点についても「ノー」と言うしかありません。
私自身が実際に教材を使ってみることで「スピードラーニングは初心者に向かないハードな教材」だということが分かったからです。
実際にスピードラーニングを使うことで気づいた「こりゃ初心者にはきついでしょ!」という問題点、デメリットを紹介していきます。
「新聞で広告見たけど、スピードラーニングやってみようかな?」
みたいに心が揺れ動いている皆さんは、本記事を参考により慎重な検討をしてくださいね!
スピードラーニングが英語初心者には向かない3つの理由
30日試して気づいたことですが、スピードラーニングは英語初心者には向かない教材です。
その理由は、大きく次の3つに原因があります。
[list class="li-check"]
- アメリカ、日本の文化など教材の内容がハード
- 音だけではナチュラルな発音を理解できない
- テキストの日本語訳が多く、解説がほとんどない
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日米の文化・生活を紹介する教材は内容や英単語の難易度がバラバラ
スピードラーニングのCDにはアメリカの歴史や文化、生活について学びます。
さらに日本の富士山などの観光名所、歌舞伎や能などの伝統文化を英語で紹介しているものもあります。
日米両方の文化の知識を増やすことは、確かに面白いです。
国際恋愛中のカップルの繰り広げる会話なんかも、野次馬根性を駆り立てられ、楽しく聞くことができます。(どうしても日本語のほうに注意が向いてしまうのですが)
しかし、そこで登場する英単語には上級者向けのものが混じっています。
rite(儀式)、sulfur(硫黄)、multi-racial(他民族の)などの難解な英単語がふつうに聞こえてきます。
皆さんはこれらの単語の発音、分かりますか?
正しい発音を知らない単語を、初心者が音だけを聞いて意味を理解するのは不可能です。音から単語を連想できないからです。

他の英会話教材の場合、初対面の人とのあいさつ、買い物や空港での英会話、自己紹介の仕方など実際に私たちが英語を使うシーンを想定して、その場面で必要な単語やフレーズを学ぶことができます。
一方でスピードラーニングは1巻ごとに、様々なトピックの英会話が繰り広げられるのですが、日米の文化や生活、伝統などについての話題が多く、すぐに使える日常英会話とは言えません。
日常的な会話表現をある程度理解している人にとっては、さらに表現の幅を広げることができるメリットがあるでしょう。
そのためには一定の知識と、英語を聞き取り意味を理解できるリスニング力が必要です。
もしあなたが英語をこれからやり直す初心者であれば、もっと基本的な会話表現からスタートしたほうがいいです。
難解な単語や、地名や人名など固有名詞を何度聞き流したところで、文字が連想できないので記憶することはできません。
高望みはせずに、初歩的な英会話をまずはしっかりマスターすることが先決です。
英語の発音・アクセント、音声変化についていけない
スピードラーニングの英語のスピードはTOEICのリスニング問題より少し遅い程度です。
したがって、ネイティブの話すナチュラルな速さの英語ではありませんが、英語らしい発音やアクセント、さらに音がくっついたり消えたりする「音声変化」などは当たり前に登場します。
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本来、リスニングとは「音を聞いて、頭の中で文字に置き換えて意味を理解する」プロセスです。
つまり、脳内で音→文字への変換が上手くできないと、雑音を聞いているのと変わらないことになります。
カタカナ英語で耳が慣れてしまっている英語初心者の場合、本来は意識的に英語らしい発音や音声変化のルールを理解する必要があります。
ナチュラルな英語は、音がくっついたり、消えたりして単語1つだけで発音したときと異なる聞こえ方をします。
そのルールを知らずに、いくら耳から英語を聞いたところで、音から意味を取り出す処理ができないので疲れるだけです。
スピードラーニングは英語と日本語の音声がひたすら再生されるだけの教材なので、リスニングのコツについての解説はありません。これではお経を聞いているのと大差ありません。
さらに初心者はどうしても日本語のほうに注意が向くので、英語の音のほうはあまり記憶に残りません。
「英語で何て言ってたっけ?」と気になったら巻き戻しして再生するしかないのも不便で時間がかかります。
結局、リスニング力向上のためには音と文字をリンクさせるにはテキストを開くしかありません。
でも、そのテキストにもまた問題点があるのです。
解説が一切なく、意訳が多い日英対訳テキスト
スピードラーニングには1巻ごとに音声の文字起こしをしたテキストがついており、英語と日本語の文章が確認できます。
しかし、中身は文章が載っているだけで文法や単語についての解説、リスニングのコツなどの説明もありません。
ホントにただ日英対訳が掲載されているだけです。
文法的な説明がないので「この英語は日本語でこういう意味になる」ということを1対1の関係で丸暗記するしかありません。
文法的な仕組みや単語の意味が分からないと、同じ構文に違う単語を当てはめて応用することができません。
中学・高校レベルの文法を理解している人であれば、自分の頭の中でうまく変換することは可能です。
しかし、それができない初心者の場合は効率の悪い丸暗記をするしかなくて、長期間覚えていることはできないでしょう。
あと、テキストの日本語訳は「意訳」がかなり多いです。
英語を読みなれている人には大した問題ではないですが、初心者の場合「何でこの英文でこの日本語になるの?」と混乱する可能性があります。
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(英)Mt.Fuji is so beautiful this time of year.
(日)富士山は、今が今年で一番きれいだよ。
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(英)Dramatic moments are highlighted by exaggerated poses, with the actors giving intense looks.
(日)劇的なのは、役者が強烈な目つきでおおげさなポーズをして大見得を切るときです。
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(英)You admire blond girls, don't you?
(日)君は金髪女性崇拝主義なのかな?
動詞のadmire(憧れる)で、崇拝主義とまで訳すか?とツッコミたくなります。
歌舞伎役者が大見得を切るとか、日本語ですら説明が難しいものです。
それをいきなり英語で、しかも耳から聞く音だけでインプットするのは相当な無理があります。
このように日本語訳はかなり意訳が入っているため、英語初心者が見ると「なんでこんな日本語になるの?」と逆に混乱するリスクがあります。
英語→日本語で音が流れるので繰り返し聞くのが不便
3つの理由で述べたように、スピードラーニングは初心者が耳だけで学習する聞き流し教材としては、かなりハードルが高いものだということが分かりました。
教材の内容以外にも、音声の再生がかなり不便で面倒なのも学習効率を悪くしていると思います。
スピードラーニングは英語→日本語の順番で音が流れるのですが、「ここの英語をもう一度聞きたい」と思った時に巻き戻すことになり、とにかく面倒です。
実際、その他の英語教材では「英語→日本語→英語」の順番で再生されるものや、自分で声に出して練習するための間隔が空いているものなどもあります。
聞き流しではなくて、自分でも口に出して練習する時は、そういう作りの教材のほうが学習効率が高いです。
あくまで耳で聞くだけの聞き流し学習に徹するのであれば、英語→日本語の順番でも問題ないです。
しかし、それでは肝心な英会話スキルが伸びてくれません。
聞き流しに適した再生の順番になっているせいで、効果的な英語学習をやろうとすると効率が悪くなるという、何とも歯がゆい感じの教材がスピードラーニングなのです。
スピードラーニングは自分に合っている?買う前によく検討しよう!
スピードラーニングが英語初心者にはハードルが高い内容であることを解説しました。
英語がとにかく嫌い、机に向かって勉強するのが苦手な人でも気軽に始められるという大きなメリットがありますが、「これから英語をきちんと学んで英会話ができるようになりたい」と思っている人は、買う前によく検討しましょう。
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