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短期記憶・長期記憶で分かる脳の「記憶の仕組み」

[box class="box8" title="この記事で分かること"]
・短期記憶と長期記憶
・効果的な勉強法
・やってはいけない勉強法
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勉強して覚えたことをすぐに忘れてしまい、つらい思いをしたことはないでしょうか?

勉強はただ何となく時間をかけて頑張ればいいというものではありません。

野球やサッカーなどのスポーツでは正しいフォームで体を動かすことが成果を出すためには大切です。同様に記憶をコントロールしている脳の仕組みを知って、それに合わせて勉強すれば効果が出やすいと言えます。

脳の仕組みに合わせて勉強すれば効率的に記憶できる

昔から、勉強には復習が大事だと言われてきました。

習ったことはその日のうちに振り返り、定期的に見直せば記憶が定着しやすいことは経験的に本当っぽいです。

しかし復習はめんどくさいので、たいていの場合はその場しのぎの一夜漬けで乗り切るケースが多いのではないでしょうか?

一目見ただけで全部覚えられる才能が欲しいと妄想したことだってあるでしょう。

しかし、脳の記憶の仕組みを知ることで、復習が効果的な勉強法だと気づくことができます。

それから、一夜漬けは無意味だということも科学的に理解できるようになります。記憶の仕組みについて理解することで次のことが分かるようになります。

・短期記憶と長期記憶
・効果的な勉強法
・やってはいけない勉強法

これらの区別ができるようになり、自分に学習スタイルにつながるヒントにもなります。

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こちらの記事では、英語をやり直す社会人が知っておきたい、効率的な英単語の覚え方について紹介中です。

短期記憶と長期記憶の差は情報の保存期間

私たちの記憶は、一般的に短期記憶と長期記憶に分けることができます。

ざっくり言うと、短期記憶は一時的な記憶です。

自宅の住所や電話番号など、覚えている知識を思い出して一時的に置いておくスペースとしての役割のほか、目や耳など外から受けとった情報が短期記憶として保存されます。

短期記憶にある情報は、約30日たつと捨てられてしまう、忘れやすい記憶です。

これに対して、長い間覚えていて忘れにくい記憶のことを「長期記憶」と呼びます。

皆さんも経験してきた高校入試・大学受験の場合、この「長期記憶」にたくさんの知識を保管できる勉強法を実践した方が有利なのは間違いないですね。

もちろん、それは英語の勉強でも同じことです。

このような脳の記憶をコントロールしているのが「海馬(かいば)」と呼ばれる部分です。

記憶は海馬でつくられて大脳皮質で保管される

偶然によって発見された海馬の役割

海馬はまさに記憶の司令塔ともいうべき部分です。

海馬の重要性を初めて明確に示したのはアメリカの神経心理学者スコヴィルとミルナーの1957年の報告です。この報告はてんかん患者に対して行われた脳の外科手術にかんするものでした。

その患者はてんかんの症状がひどく悪化し、薬がほとんど効かなくなっていたため脳の手術をすることになり、海馬を取り除くことになりました。

手術は成功しましたが、その患者は重度の記憶障害に陥りました。彼は16歳以降の記憶が思い出せなくなった他、毎日の食事やその日起こったことなど、新しい出来事も全てを記憶できなくなっていたのです。

 

この衝撃的な事例によって、記憶における海馬の重要な役割が確認されました。

脳の分業体制に注目して記憶の仕組みをイメージしよう

人間の脳はとてもたくさんの機能を持ち、各々の部位で役割分担をしています。

テストや受験のために覚えた情報を記憶したり、忘れたりするのも脳の役割分担によって機能しています。脳の仕組みをイメージするときはこの「分業体制」に注目すると分かりやすいです。

 

人間の記憶が作られる場所は海馬です。そして記憶を保管する場所が大脳皮質と呼ばれる部分です。

イラストで示した通り、記憶に関する脳の役割分担は次のようになっています。

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海馬: 外からの情報を短期記憶として保存、重要な情報だけを大脳皮質に移して長期記憶として保管する
大脳皮質: 海馬が重要だと判断した情報を長期記憶として保管する
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外から入ってきた大量の情報はまず海馬に集まり、どの情報が重要なのかを判断して記憶するべきもの、捨ててよいものを区別しています。

このうち、必要だと判断された情報が大脳皮質へ移されて保管されるのです。

忘れっぽいのは人間として当たり前?

そもそも人間は覚えるよりも忘れるほうが得意な生き物です。

脳には外部から常に莫大な量の情報が入ってきます。

もしそのすべてを覚えていたら逆に私たちは混乱してしまいます。

なるべく多くのことを効率的に忘れて、大事なものだけを絞り込んで記憶したがるのが人間の脳の性質なのです。

そして海馬がこの「大事な情報だけを区別して記憶する」という取捨選択の作業をして、大脳皮質に送っています。

 

では海馬が重要かどうかを判断する基準とは何でしょうか?

それはなんと「生きていくために必要かどうか」ということです。

つまり、

「車が目の前に突っ込んできたら避ける」

「カビの生えた食べ物を口にしてはいけない」

などのように生死に直接かかわるような知識を海馬は重要なことだと判断して、長期記憶として保存します。

人間も動物なので、そもそもは危険を回避して生きていくために記憶を利用していたのです。

 

残念ながら、日本人である私たちにとって、英単語や文法の知識は生死にかかわるような情報ではないので、海馬にとっては「忘れても特に問題ない情報」です。

TOEICスコアが昇進に必須など、人間社会で生きていくためには英語は必要なのですが(笑)

とにかく、このままでは一度覚えた知識は短期記憶から取り除かれてしまいます。

 

私たち人類が文字や図など膨大な情報を用いるようになったのは、何千年か前に文明が誕生してから、せいぜい5千年くらい前の話です。

猿から人間へ進化する歴史のスケールで見ると、5千年はほんの一瞬。現代人の生活スタイルに、脳の進化が追いつくにはもっと膨大な時間が必要なのでしょう。

 

でも現代の人間のライフスタイルと脳の機能とがマッチしていないからと言って、あきらめる必要はありません。

覚えたことを長期記憶に保存して忘れにくくする方法はちゃんとあります。

学校の勉強の知識を海馬に重要だと思わせる方法

厳しい大自然の中で生きるのに関係ない学校の勉強の知識を、海馬に重要だと思ってもらうにはどうすればよいか。

その方法は「何度もくり返し同じ情報をインプットすること」です。

 

つまり復習(反復学習)です。

 

しかも勉強した時から1ヶ月(30日以内)に何度かくり返すことが大切です。なぜなら海馬の中に情報が短期記憶として留まっている機関が約30日間だからです。

この30日間で何度もくり返し復習すれば、海馬は「また同じ情報が入ってきたな。そんなに何回も受け取るということは、こいつはきっと大事な情報なんだろう」と思ってくれて大脳皮質へと情報を移して長期記憶として保存してくれます。

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初めて習った日の夜や1日後、3日後など時間をおかずに復習すれば最初に覚えた時よりも楽に覚え直すことができます。

もし30日以上の間隔をあけてしまうと、海馬は「こいつは要らない情報だから捨てよう」と判断して記憶から消されることになります。

こうなると最初からやり直すのと同じ手間がかかるので、勉強の効率が非常に悪くなります。

30日以内の反復学習で短期記憶が長期記憶になる

復習の理想的なペース

理想的な復習のペースはその日の夜、1日後、1週間後にくり返すことです。

それから少し時間をかけてまた復習することで長期記憶から素早く情報を取り出す回路を頭の中に作ることができます。

ただし、長期記憶に情報が保存されたとしても忘れてしまうこと、思い出しにくいことはよくあります。

そういう時は、落ち込まずにまた覚え直すことです。

人間は覚えるより忘れるほうが得意な動物なのですから、誰でも同じような経験をしています。

長期記憶にある情報が思い出せなくても、情報そのものが消えてしまったわけではありません。

厳密な説明は省略しますが、情報を保管している神経細胞は残っているので、覚え直すことで神経細胞同士のつながりが強固になって前よりも思い出しやすくなります。

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一夜漬けは最悪の勉強法

前日に一夜漬けで乗り切ろうとする人がいますが、もし初めて習った日から当日まで30日以上の月日がたっていたら、その情報は短期記憶からも消えてしまっています。

つまり、最初から勉強し直すという非常にめんどくさい事をしなければならなくなります。

一夜漬けは体力も消耗するので、やめたほうがいいです。

忘却曲線の記事でも説明しましたが、一度覚えたことを1時間後、1日後と定期的に復習することで覚えるための負担が軽くなり、覚えやすくなります。

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