「3語で伝わる英語」は 伝わる英語の本質を学べる良書だった

この記事で分かること
・日本人が「伝わる英語」を習得するためのテクニック
・短くても伝える英語の組み立て方
・テクニカルライティングが日本人に役に立つこと

会話もメールも 英語は3語で伝わります

 

ビジネス英会話や英文メールなどで、分かりやすい英語を速く書けるようになりたい…

受験英語やTOEIC対策で英語の文法や単語などを学んできたけど、実際に使ってみると、言いたいことが上手く表現できずに悩むことって、ないでしょうか?

私の場合、伝えたいことが本当にこの英語で理解してもらえるかな?と不安になる時がけっこうあります。

特にメールを書いていて、妙にぎこちない表現になったり、ムダに長くなって結論が分かりにくくなったりします。

主な原因は、日本語の発想で思い浮かんだ文章を、そのまま英語に訳そうとすることにあります。そのせいで、使い慣れてない単語・熟語を調べてみたり、複雑な構文を使おうとしたりと、悪あがきをするのですが、どうもしっくりこない。

これ、不自然な英語になってないかな?ちゃんと伝わるかな?正確な文になってるかな?

と、頭の中では不安を誘う言葉があふれてきます。

少しずつコツもつかんできましたが、独学ではどうしても気がつかない事ってたくさんありますよね。

受験やTOEICの英語では、正しい英語を学ぶことはできますが、実践の場で伝えたい事をわかりやすく、すばやくアウトプットするためにはそれだけでは不十分です。

 

「会話もメールも英語は3語で伝わります」は、日本人が英会話や英作文でやりがちな失敗を分析して、たった3語で伝える英語ができるようになろう!という本です。

正直に言って、「3語でOK」のインパクトが強すぎて、英語本でよくあるタイトル詐欺かと思いましたが、中身は硬派で本質的でした。

 

著者の中山氏は長年、特許文書の日英翻訳に従事した方です。

日本企業のエンジニアや理系学生向けに技術文書の書き方を教える人気講義もしているので、何気に英語で技術仕様書やマニュアルなどを書くエンジニアにとっても参考になる知恵が詰まってます。

この本をおすすめできる人
・英語を話す、書くのが苦手なビジネスマン
・TOEIC対策が一段落し、英語を使えるレベルになりたい人
・英語で技術文書を分かりやすく書きたいエンジニア

こういう人に本書はおすすめです。
自分の書いた英語がどうも伝わりにくくてお悩みの人、英語を話そうとすると、英語が口から出てこなくて混乱してしまう人はきっと良いヒントが得られます。

非ネイティブは「こなれた英語」より「伝わる英語」を目指そう

海外で暮らした経験のない私は、英語を学習していてつくづく思うのです。

ネイティブスピーカーと同じレベルには一生かかっても届かないだろうなと…

 

日本語を母国語として育った私たちが、理屈では言えない感覚やセンスで日本語を使うように、英語圏のネイティブスピーカーの人たちじゃないと理解できないような、ロジックだけで説明がつかない「こなれた英語」というのがあります。

海外ドラマ等を見ていると分かりますが、日常的なシーンや、スラングで特にこなれた英語表現に出くわすことが多い気がします。

そういう英語って、ネイティブと同じ感覚で使いこなすのって、英語を外国語として、日本で学ぶ私たちにとって至難の業です。それを求めると、プロの通訳になる以上の勉強をしないといけないし、その道は果てしない荒野です。

 

一方、なぜか日本では「英語ができる=ネイティブレベル」という認識が強くて、高すぎる目標を間違って掲げてしまい、「やっぱ俺ムリだったわ…」と挫折する人が後を絶ちません。

 

だけど、私たち非ネイティブが仕事で使う英語には、「こなれた表現」はむしろ使わないほうがコミュニケーションがしやすかったりします。

今や世界中で英語を使う人口は約17億人以上と言われていますが、そのうち英語圏で生まれた育ったネイティブの人口は約4億人。圧倒的に「外国語として英語を使う非ネイティブ」のほうが多いです。

非ネイティブ同士で英語を話すとき、妙にこなれた表現を使うと相手に意図が伝わりにくい可能性があります。

 

意思疎通をスムーズにおこなうためには、「3語の英語」で解説されているような「伝わりやすい英語」を使ったほうが誤解を生みにくいです。自分がその単語・表現を知っていても、相手の非ネイティブが知らなければ意味がありません。

私たち日本人にとっては、シンプルで伝わりやすい英語を目指すことが、洗練されたネイティブレベルの表現を目指すよりも、適切なゴール設定だと言えるでしょう。

日本語であいまいな主語を、上手に選ぶことが大切

日本語はよく主語を省略する傾向があります。

しかし、英語は文法のルール上、主語を必ずつけないと文章として成り立ちません。

英語では「I」や「you」をよく使いますが、日本語で「あなた」とか「俺」などの言葉を出すことって、意外に少なくないでしょうか?

この大きな差が日本人が英語を使う際、頭の中で英文を組み立てるときに混乱を招く原因となっています。逆に、主語をうまく選べるようになると、英作文が楽になり、スムーズに口をついて話せるようになります。

たとえば、次の日本語を英語にすることを考えてみましょう。

  • 「多くの人とコミュニケーションを取ることで、知識が増える」

日本語では「知識」が主語ですね。でも、その感覚で英作文すると、ややこしい結果になります。

  • Knowledge can be increased by communicating with many people.

まぁ、言いたいことは分かるけど、もっとシンプルにできそうですね。

この文章では、本当の主語は、知識を持つ「私たち」だと言えるので、「私たち」を主語にして、

  • We can increase knowledge. (私たちは知識を増やすことができる)

こんな風に書くと、さっきより分かりやすいです。「多くの人とコミュニケーションすることで」を付け加えると、

  • We can increase knowledge by communicating with many people.

このようになります。

「3語の英語」では主語を次の4種類から選んで英文を組み立てることを解説しています。

  • モノ
  • 動作
  • This:直前に伝えた「このこと」

主語を最初に言うことで、英語は意味が伝わりやすくなります。主語を適切に選べるセンスを磨けば、私たちの英語は大幅にレベルアップしていくでしょう。

動詞を効果的に使えば、短くても伝わる英語になる

英語には色々な動詞がありますが、その一語だけで具体的な意味が伝わる動詞と、そうでない動詞があります。

・do (する)
・perform (行う)
・make (作る)

これらの動詞は、具体性が乏しい動詞です。「する」や「行う」と言っても何をするのかまでは分かりません。でも、日本語で「する」や「行う」って頻繁に使いますね。

例えば、

私たちは企業訪問をする → We do company visits.

日本語の感覚でdoを使うとこうなりますが、本当は

We visit companies. 

動詞のdoをやめて、より具体的な「訪問する」という意味のvisitを使うことで短い英語にすることができました。

「取引先へ問い合わせをする」「点検を行う」など日本語でよく使う表現ですね。

これらをそのまま英語にする前に、本当の行為・動作は何か?を整理すると

・問い合わせる(inquire)
・点検する(inspect)

という言葉へと言い換えることができます。すると、動詞に具体的な意味を持たせてより短く、簡単な構文で伝えられるようになります。

このように、シンプルな英文を組み立てるのを助けてくれる動詞の語彙力を増やしておくと、英会話や英文メールがずいぶん楽になります。

「3語の英語」の本には、役に立つ動詞の使い方や一覧表なども載っているので、とても参考になります。

ブロークン英語はダメ、シンプルでも正しい英語を使うべし

少ない文字数の文章に、より多くの情報を込めることで英語は読みやすく、理解しやすいものになります。
ビジネス文書、技術文書では文学的に洗練された書き方よりも、誰が読んでも同じように意味が理解できる文章のほうが好まれます。

特にエンジニアが書くような仕様書は、読む人によって異なる解釈をされると重大な欠陥、バグを誘発するリスクがあります。日本人同士でやり取りしていても、内容の解釈の違いでバグが発生するのは避けられないのですから、外国語の場合はなおさら注意を払う必要があります。

短くて分かりやすい英文であっても、正しい文法、語彙力をベースにしないと、重大な誤解を招いてしまいます。ルールに則っていないブロークンな英語は、ビジネスシーンでは使うべきではありません。

また、レストランなどで注文する時でも、「Coffee!」みたいに単語だけで言うと失礼だし、不快な気分になる人もいます。相手に配慮してこそのコミュニケーションですから、ブロークンな英語は日常のシーンでも使うべきではありません。

「3語の英語」では英語を正しく使うための、文法事項の説明も分かりやすく解説してくれています。

日本人がよく抱く疑問や、前置詞のイメージなどをイラストや図で説明してくれています。
これはTOEICハイスコアの上級者でも、かなり参考になる情報だと思いました。

助動詞の使い分け

「前置詞の説明」

「3語の英語」はエンジニア・技術系におすすめの英語本

「3語の英語」で使う文法は中学英語レベルの応用なので、英語が苦手なエンジニアでも習得が可能です。

著者は特許文書の翻訳に携わり、技術文書の英語を長年扱ってきた人で、テクニカルライティングの手法を活用して、日本人がシンプルで分かりやすい英語を書ける・話せるようになるための思考法、ノウハウを研究してきました。

そして企業や大学でテクニカルライティングを研究者、技術者に教えており、好評を博しています。

本書のタイトルに書かれた「英語は3語で伝わる」も、技術文書を書くための手法であるテクニカルライティングをベースに生まれたものです。

テクニカルライティングには、冠詞、名詞の習得、構文の習得、主語の決め方など、さまざまな項目があります。しかしいずれも、何年もかけて習得するというものではありません。たった数日でも、すべての知識が習得可能です。短い授業の期間であっても、受講者の英語が大きく変わるのを目の当たりにしてきました。

そのようなテクニカルライティングの手法から、最も重要なエッセンスを抜き出したのが、本書で取り上げた「3語の英語」です。

技術系の文書を書くエンジニアにとって、本書は役に立つ内容が盛りだくさんです。

また、3語の英語を習得することで、日本語の文章も上手になるメリットがあります。

短くてシンプルな英語を考えるときには、頭の中で本質的に伝えたいことを整理してから英文にアウトプットするというプロセスを踏みます。これを英語ではなく、日本語でアウトプットすれば、短くて読みやすく、かつ分かりやすい日本語を書くスキルも得られます。

【まとめ】「3語の英語」から見えてくる英語学習のゴール

日本人が英語を苦手と感じ、多くの人が挫折してしまうのは「ネイティブスピーカーを目指そう」という誤った目標が原因です。

「3語の英語」を読めば、外国語として英語をどう上手く使いこなせばよいか?というヒントがたくさん得られます。英語本によくあるように、タイトルは大げさですが、内容は本質的でしっかりしたものでした。

この本をおすすめできる人
・英語を話す、書くのが苦手なビジネスマン
・TOEIC対策が一段落し、英語を使えるレベルになりたい人
・英語で技術文書を分かりやすく書きたいエンジニア

Toshi

外国語を学ぶことで、日本語の使い方も上手くなるのは、第二言語習得などの研究でも言われていることです。これはネイティブスピーカーにはない、英語と日本語の両方で思考し、シンプルで伝わる言葉を選ぶことができるスキルです。このスキルこそ、外国語を学ぶ私たち日本人が目指すべきものではないでしょうか。

英会話や英文メールを上達させたい人は、ぜひ一度読んでみることをオススメします。