なぜか間違った認識をされるエンジニアの英語力

システム開発、プログラミングの仕事現場で必要になる英語力とはどんなレベルなのかを解説します。

エンジニアの英語といっても、それぞれの仕事環境によって求められる英語のレベルやスキル(読み書き、英会話など)は様々ですが、自分の英語力をこれから磨いていくに当たってそれで自分の仕事ぶりがどう改善されるのか、エンジニアとして期待されることとどう結びつくのかということを理解して勉強した方が絶対に効果的です。

この記事は英語に苦手意識を持っているエンジニアのために書いています。

主に日本国内で働いていて、英語のマニュアルやリファレンスを読んだり、英語でコミット文を書いたり、海外のエンジニアと時々会話をするようなシーンが仕事である方を想定しています。

まず英語に対する完璧主義を捨ててしまおう

英語を苦手とするエンジニアの方々にお伝えしたいのは、まず英語そのものに対する完璧主義から解放されましょうということです。

これは学校での英語教育の弊害ですが、日本人はなぜか英語のことになるとネイティブスピーカーと同じレベルじゃないといけないという強迫観念を抱いてしまいます。

なぜか英語の先生の中にも自分の英語が完璧でないことを気にしている人がいる始末です。

はっきり言ってネイティブスピーカーと同じレベルの英語力を身につける必要はまったくありません。

しかし学校教育の中でそれが英語学習のゴールだと誤解してしまうと、英語を使いこなすには気の遠くなる努力や語学の才能がいるんだと思いこんでしまいます。

そして自分の現状と比べて、足りないところばかり意識してコンプレックスを持つことになります。

これから日本人のエンジニアが英語を使っていくにあたって、ネイティブスピーカーと同じレベルを目指す必要はまったくありません。

文法やリスニングなどの勉強時間はもちろん必要ですが、どんどん読み、書き、話すなどして英語を積極的に取り入れるマインドが大事です。

非ネイティブ同士で通じる英語を身につければいい

エンジニアが英語で仕事をする場合、英語を母国語としない非ネイティブの人々とコミュニケーションを取るほうがずっと多いです。

IT分野なら中国、インド、さらにベトナムなどアジア圏の国々の人たちですね。

こういう国の人たち一緒にオフショア開発をしたり、クラウドソーシングで仕事を依頼したりする場面において、お互いの母国語では意思疎通ができないのでコミュニケーション手段として世界の公用語である英語を使います。

むしろ英語を使う人口に占める割合でみるとネイティブスピーカーと呼ばれる人たちのほうが今や少数派です。

英語圏の国々といえばアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドですが、その人口合計が4億人弱です。

それに対して第二言語として英語を使う人口は世界全体で18億人程度と言われています。

つまり非ネイティブ同士で英語でコミュニケーションする機会のほうがずっと多いわけです。そんな時に「ネイティブ並みじゃないから…」という理由でためらうことはありません。お互いに話していること、書いてあることが分かればオッケーです。

改めて、エンジニアに必要な英語力とは何だろう?

私自身や周囲の仕事仲間の経験があくまでベースになっていますが、エンジニアが日本国内にいて英語を使うとすると、次のような場面があるでしょう。

・Gitなどでコミットするときのコメントを英語で書く、読む
・エラー文言の英語を読む、修正内容をstack over flowなどでリサーチする
・APIやライブラリのリファレンスや、マニュアルの英文を読む
・コーディング時のメソッド、変数の名称、DBのテーブルやカラム名を決めるとき
・海外のエンジニアと対面やビデオ通話で話す、チャットでやり取りする

自分の仕事で必要なボキャブラリー、中学レベルの英文法を理解していればあとは実践でどうにかなるのがエンジニアの英語です。

別にTOEIC800点以上じゃなきゃいけないとか、ネイティブ並みに流暢にこなれた英語を話さなければならないということは一切ありません。

なので私はエンジニアの人たちは、次のようなことが英語でできていれば問題ないと考えています。

  1. 英語で書かれた一次情報にアクセスできること
  2. アプリケーションのマニュアルやGithubとかに書いてあるWiki、StackOverflowで投稿された内容の英文が読めること
  3. 中学レベルの正しい文法で設計書やソースコードが書けること
  4. メソッドや変数、DBのカラム名を決めるときに正しいスペルで書くこと(後で気づくと本当に恥ずかしい…)
  5. 中学レベルの文法で相手と英語で話せる、言ってることが聞き取れること
  6. 中学レベルの文法でテキストベースでやり取りできること

これをインプットとアウトプットで大別すると、インプットでは求めている情報に素早くアクセスして、内容を正しく読み取ることが肝心です。(1)と(2)が該当します。

コーディングやテストを担当している場合、この時間が実質的にかなり大きな割合になるので、その時間で得られる情報の質や量を改善できるのは、英語の文が読めることの大きなメリットです。

文法と単語は中学レベルをまず使いこなせるようになろう

英語を読むといっても、IT分野の仕事で使う英語ですから、使う語彙は限定的です。

最低限の文法と自分の業務で必要な範囲のボキャブラリーを構築しておくことが必要です。英文法が苦手な日本人は多いですがITの仕事では仮定法や倒置表現みたいなこなれた表現は必要なくて、明確な事実やロジックだけを理解できる文法知識があれば十分です。

その程度なら現在形、過去形、現在完了形、to不定詞など中学レベルの文法を一通り理解していれば大丈夫です。

それに文章を書く側も非ネイティブの場合が多いので、海外ドラマや小説で出てくる文章とは違う、シンプルな英文がほとんどです。

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次にアウトプットについてです。これはさきほど挙げた(3)〜(6)が該当します。

私が伝えたいのは、要は中学レベルの文法を使いこなして英語が話せる、書ける状態をまず目指そうということです。

英語を話すときは頭の中にあって伝えたい情報を日本語を仲介させずに英語でそのまま表現することを意識しましょう。

そのためには何度も口に出して使うことです。単語やフレーズをインプットしただけでは話せるようになりません。独り言でもSNSでも何でもいいので、とにかく使ってみましょう。

瞬間英作文で独学で英語回路をつくろう

日本語をはさまないで英語がすぐ口に出る思考回路を作る感覚で練習するのが大事です。
そのためにオススメの勉強法が「瞬間英作文」です。

こちらの本がおすすめです。

瞬間英作文は日本語の短い文章を聞いて瞬時に翻訳した英語を口に出して言うという英会話のためのトレーニングです。

実際やってみると「私は図書館に本を借りるために行った」みたいな単純な文章でもモタモタして英語が出てこないことに結構おどろきます。

逆にこのレベルのフレーズで使われている文法を使いこなせるようになれば、会話のスキルをかなり伸ばすことができます。

スペルミスは他の人が混乱するので正確に書くべし

それから英語を書くときはスペルミスだけはくれぐれも注意しましょう。

ドキュメントやソースコードや他人が読み、それをインプット情報として次のアウトプットにつながっていきます。

特にソースコードでスペルが間違っていたりすると、他の人が正しいスペルで書くとエラーになって混乱のもとです。

DBのテーブル名などのスペルが間違っていたりすると、ビジネスロジックを実装したソースコードにも影響が出るのでバカにできないです。

最近では自分の書いた英文の文法やスペルミスを修正してくれるWEBサービスも登場してきていますし、Wordなどのソフトでも自動で修正する機能が充実しているので人間の目だけに頼らずツールを活用したほうが無難でしょう。

便利ツールを活用して自分の英語力を補うという視点

英文のスペルチェックをソフトウェアに任せてしまうことをお話しましたが、現在は英語を使うエンジニアを支えてくれる便利な充実しています。

自分のリアルな英語力が不足していても、こういうサービスを上手く使えば、英語力を底上げできます。デジタル全体のこの時代、英語のスキルは次のような足し算の式で決まるものです。

エンジニアの英語力=自分の実力+ツールの活用

最近はGoogle翻訳の精度もかなり向上してきました。自分が言いたい日本語を入力して英文をコピペする定番の使い方もあれば、英語のWEBサイトのURLを入力すればページをまるごと翻訳してくれます。

英文マニュアルなどを読むときに重宝します。音声入力を使えば日本語で言ったこと→英語の文章で変換してくれるので、相手と対面で話しているときにも活用できます。

過去にインドやベトナム出身のエンジニアの方と英語したことがありますが、お互いの英語のアクセントにクセがありすぎて何度聞いてもリスニングできなくて困ったことがありました。

英語を書いて筆談すると「ああそれね」とすぐに理解できたのですが、今の時代ならGoogle翻訳を活用します。

また英文校正ツールではGinger(リンク付)やGrammarly(リンク付)などのWEBサービスが有名ですね。

英語が得意な人の時間を取って英文チェックをお願いしなくてもいいのはありがたいです。両方ともChromeの拡張機能が提供されています。

英語を読んでいて分からない単語があったときもブラウザ上ですぐに辞書を引けると便利です。

WEB上で使える英語辞典として有名なのはWeblioですが、こちらもChromeの拡張機能で「Weblioポップアップ英和辞典」があります。

カーソルを合わせるだけで英単語の意味を調べられます。辞書で調べる作業をしていると、どうしてもペースが落ちるのでPCの画面上ですぐに意味をチェックできるのは集中力を維持しやすくてありがたいです。

このように英語関係のサービスや拡張機能などを使いこなすことで自分の英語の実力に「下駄をはかせる」ことが可能な時代になりました。デジタルツールの恩恵は存分に活用すべきです。自分なりに工夫する楽しさもあります。

くり返しになりますが、エンジニアの英語力=自分の実力+ツールの活用です。

英語の基礎的な文法や単語はじっくりと習得するしかありませんが、ツールを試行錯誤して使いこなすプロセスは私を含め多くのITエンジニアにとって面白い体験になると思います。楽しみながら英語を使っていきましょう。

エンジニアの価値はアウトプットで決まる!英語はツール

エンジニアにとっての英語はあくまでも仕事の補助的なスキルだと思います。

エンジニアの価値が自分が作った設計書などのドキュメントやソースコードの質で決まります。流暢な英語をオフィスで得意げに披露したところで、それが直接アウトプットの質に貢献するわけではありません。

英語でやり取りしているうちに分かったつもりになり、後になってお互いの思っている仕様や要件がぜんぜんズレていることに気づく、というのが最悪のパターンです。

これって日本語でもふつうに起こる事象なので母国語ではない英語を使うときは油断すると確実にそういう事が起こると思ったほうがいいでしょう。

大事なのはネイティブレベルの英語を使いこなすことではありません。中学レベルの文法でいいから、自分と相手の間で認識をあわせて仕事のゴールをきっちり合意できることが肝心です。

そのためなら便利なツールをどんどん使えばいいし、「ここが分からない」「それはこういう意味で大丈夫?」みたいな質問をしつこいくらいに交わすことが必要です。

これは英語力というよりコミュニケーションの姿勢に関わる問題ですが、それが欠けていればTOEIC900点を取れる英語力を持っていても仕事の役には立たないでしょう。

さらに言うと会話だけでコミュニケーションを完結させる必要もありません。

お互いの英語が聞き取りにくいと感じたらチャットでひたすらテキストベースで話すのもいいですし、PDFが画像ファイルに赤ペンで線を引いたり、コメントをつけたりしたデータを送って「ここを読め!」「この処理は共通化して使いまわせるようにしてくれ」等と伝えることだってできます。とにかくエンジニアの仕事で使う英語で肝心なのは「正確に理解し、伝えること」です。

エンジニアに必要な英語力 まとめ

私自身はTOEC925点を保持していますが日本国内で働くエンジニアが英語を使う想定ならば、そのレベルまで到達しなくても通用すると思います。

最低限必要なのは中学レベルの文法と単語、それを使って話す力、書く力です。話すときはリスニング力も必要なので、英語で話す機会がある人はたくさん英語を聞いて音に慣れておく練習もしましょう。

英語はエンジニアにとって、仕事上のゴールへ到達するための手段であって目的はあくまでも設計書やソースコードなどのアウトプットで会社やチームに貢献することです。

目的のために、ツールとしての英語をどのレベルまで習得すればよいのか?この視点をもって英語力を磨くことがエンジニアにとって幸せな英語学習の体験につながると思います。