英語苦手な純ジャパのITエンジニアがインド人と仕事して気づいたこと

これからのエンジニアの働き方を考えるときに英語を使って日本人以外の人と一緒に仕事をする選択肢が広がっていくと思います。特にクラウドソーシングお返した国境を越えた仕事の発注・受注は日本での勢い以上に世界を見渡すと盛んになっています。英語ができるとUpworkやfreelancer、99designsなど世界中のエンジニアやデザイナーが登録しているサービスを使って「海外進出」ができる時代になりました。

日本国内にいながら、フリーランスの個人や地方の集中企業も、国外の人材と直接仕事のやり取りができる環境を最大限活用することは、エンジニアの未来の働き方に大きな影響をもたらすことでしょう。

この記事ではクラウドソーシングを利用して、インド人プログラマーのチームと共同でWEBサービスの開発をしている友人S君の取り組み事例を紹介します。英会話が苦手な人同士、遠く離れた環境で「英語で」仕事をしなければならなくなったS君は、どんな工夫をしてコミュニケーションを円滑に進めているのでしょうか?

「自分クラウドソーシングで海外と仕事をしてみたい。でも英語が苦手だし…」とお悩みの方。ぜひこの記事を読んで、何かヒントを持ち帰っていただければ嬉しいです。

クラウドソーシングでインド人プログラマーと仕事をしているS君の事例

S君の会社では少人数のチームで Web サービスを自社開発しています。そのうちプログラミングの作業の工程の一部をクラウドソーシングで見つけたインド人プログラマーのチームに発注、かれこれ3年以上、日本ーインド間で共同開発しています。開発の体制としては、日本にいるS君のほうで開発したい機能の仕様を決めて、インドにいるプログラマーのチームにタスクを振ります。完成したコードやテストの実施内容をS君がチェックして、コードの書き方やバグ修正の指示を出すといった感じで仕事を進めています。

インドの人口は今や13億人を突破、近い将来に中国の人口を上回ると予測されています。海外の仕事相手がインド人というのは、人口比から見ればふつうにありうる話です。インドでは英語はヒンディー語に次ぐ第二公用語なので、私たち日本人が彼らと仕事をするときは当然英語を使うことになるでしょう。

しかしインド人の英語は発音アクセントにかなり癖があります。”r”を”ル”と発音したり、巻き舌が極端だったりします。私も過去に海外の展示会でインド人と英語で会話したことがありますが何度も聞き返してしまって、気まずい雰囲気になった記憶があります(笑)

インド人は完璧な発音ができなくても気にせず、インド英語でバンバン話してきます。一方、私たち日本人も正しい英語を学校で学ぶ機会が無いため、フォニックス等で発音強制をしてないかぎり、カタカナ英語になってしまうので外国人には聞き取りにくい発音になってしまいます。

お互いの英語が聞き取れない問題

実験的な取り組みとして開始したインド人プログラマーとのクラウドソーシング。英会話が苦手だったS君は最初のころ、リスニングで大いに苦労することになります。

日本ーインド間の遠く離れた状態でインド人プログラマーと会話していたS君は「お互いの英語が聞き取れない」という問題に直面しました。Skypeでお互いの顔を映しながらインド人プログラマーと会話をするのですが、インド英語の発音、日本人英語の発音の独特の訛りのせいで双方ともに「え?もう一回言って!」が続く困った事態に…

仕事以前に、相手が何を言っているのか分からないので会話に頼ったコミュニケーションは負担が大きく、認識のズレも起こりやすいことがだんだんと分かってきました。そこでコミュニケーションを円滑にするために、S君のチームでは、なるべく会話をせずに意思疎通する方法を取ることにしました。

改善策は英語を話さないこと?

S君とインド人プログラマーとの間で決めたこと、それは英文を書くことをメインにして意思疎通するということでした。あえて英語を話さないという選択を取ったわけですね。

別の対策として英語の発音をフォニックスなどで学習して改善するという方法も取れそうですが、仕事以外の時間で学習しなければならないし、それを提案したところでお互いにちゃんと勉強するか保証できないので、今現在の手持ちの英語力でなんとかする対策をS君は選びました。

会話もしないで仕事内容が伝わるのか?と疑問に思った人もいるかもしれませんが、プロジェクト管理ツールの使い方を日本ーインド間できちんと決めることで、文章だけの意思疎通が成立しています。では具体的にS君はどんな方法をとっているのでしょうか?

会話をせずにインド人プログラマーへの作業指示を行う方法とは?

S 君はプロジェクト管理ツールを活用することでインド人プログラマーと直接会話することなしに共同作業ができる環境を作ることにしました。使用したツールは、 asana(アサナ)です。asanaはFacebookの開発者であるDustin MoskovitzとJustin Rosensteinが2008年に創設したもので、元々はFacebook社内の開発作業の効率化のため開発されました。

S君はasanaにチームメンバーを登録させ、開発する機能単位でプロジェクトを分けて登録、その中に必要なタスクを追加していきました。そしてタスク単位でインド人プログラマーに指示を出せるようにしました。 asanaではタスク単位でチャット機能がついているので、どの部分の議論なのかすぐ識別できるおかげで、コミュニケーションが楽になりました。

asana公式サイト
https://asana.com/

また、asanaで登録したタスク名(英語)をそのままBitbucketでソースコードをコミットするときのコメントとして記入させるように定めました。最初はインド人が自由にコメントを書いていたのですが、どうもコメント文の英語が分かりづらいという悩みが生じたのでインド人メンバーに英文を考えさせるよりはasanaのタスク名をそのまま書かせるようにしたそうです。たしかにBitbucket上のコメントとasanaのタスク名が照合できるようになるので、そのほうがどのタスクが進捗しているのか把握しやすくなるメリットがあります。

ソースやテストコードの管理はBitbucket、Sourcetreeを使って行っています。S君はインド人プログラマーがコミットしたソースの中身を見て、修正の指示を出したり、バグの指摘をしています。そのときもasanaのタスクごとに付いているチャット機能を使い、余計な言葉のやり取りをしなくても、どのタスクか相手にすぐに分かるようにしています。画面ショットを貼って、修正箇所を色付きの枠で示すなど、英語を書く手間も極力省略するように工夫しています。

こんな風にして、S君は遠く離れたインド人プログラマーのチームと日々の開発作業を進めています。ITエンジニアにとって、ツールを使うのはごく普通の発想ですが、タスク管理ツールの特徴をうまく活かしてクラウドソーシングを継続している事例として参考になることもあるのではないでしょうか。

自分も相手も英語でのコミュニケーションが得意でない場合があることは、日本人エンジニアが海外とのクラウドソーシングを始めるときに考慮しなければならないポイントです。そんな時に、手持ちの英語力でやり取りができるように、英語を書くときのフォーマットを決めてしまう事は良い手だと思います。相手の書いてくる英語で混乱しては仕事の効率がかなり悪化しますから。

日本と海外で離れて仕事をするときは、顔を合わせて話すときのニュアンスで伝えることもできないので、相手の書いた英語が最大の情報源になります。もちろんお互いに英会話が得意であれば、文章+会話で認識を合わせることも可能ですが、仕事で英語を使う人のすべてはそのレベルにいるわけではないことは理解しておかなければなりません。

ITエンジニアは成果物をベースにしてコミュニケーションできる

システム開発の仕事は、ソースやテストコード、仕様書などのアウトプットをベースに
コミュニケーションができるので、音声なしのテキスト中心のほうが意思疎通がしやすいことがあります。これは日本人だけのチームのやり取りでも実感したことがある人がいると思います。S君の場合は、小規模チームでの開発ということもあって自分がシステムの全容を把握しているので、成果物であるソースコードやテスト結果をベースにして日本ーインド間で仕事の指示ができています。asanaで登録したタスクに関連する機能やソースコードを互いに把握できていれば、画面ショットと短いコメントをチャットで送るだけで修正の範囲や内容を理解できます。

最後に S君の事例から得られるヒントとは?

S君とインド人チームとの英語でのコミュニケーション事例を紹介しました。非ネイティブスピーカー同士では相手が英会話が得意ではない場合があること、クラウドソーシングなど顔を合わせて仕事をしない状況では、英会話だけに頼ると意思疎通の効率が悪い、もしくは誤解が生じやすいことなど、意思疎通に関するリスクがあることを理解していただけたと思います。

その改善策として文章をベースにコミュニケーションをとる方法があります。最低限の英文を読み書くスキルがあれば、認識のズレなくコミュニケーションが取れるようになります。
今回紹介したasanaなどのプロジェクト管理ツールを活用すれば、個別のタスク単位でやり取りできるので便利です。WEB上で動くツールであればどこにいても同じ画面が見れるので良いですよね。

ITエンジニアにとって、仕事の目的はプロダクトやサービスの品質を上げていくこと。流暢に英語を話す人の姿にあこがれるときもありますが、必ずしもそこが「仕事で使う英語」のゴールではありません。英会話スキルの低さを補って、ゴールを目指していく体制が作れればそれでオッケーと思えば、英語を使うことの心理的なハードルも下がります。

クラウドソーシングによって誰でも海外に仕事を発注・受注できる時代になりました。さらに便利なプロジェクト管理ツールを使えば、自分の英語力を補完して仕事ができるようになってきました。英語の壁はあるが、どれだけ英語がうまく話せるかよりも、アウトプットのクオリティで評価が決まるのがエンジニアリングやWEBデザインの世界。S氏の事例を参考にして、自分に最適な「仕事で英語を使う」ワークスタイルを模索してみてはいかがでしょうか?